ノービア錠100mg
添付文書情報2023年08月改定(第5版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 次の薬剤を投与中の患者:キニジン硫酸塩水和物投与中、ベプリジル塩酸塩水和物投与中、フレカイニド酢酸塩投与中、プロパフェノン塩酸塩投与中、アミオダロン塩酸塩投与中、ピモジド投与中、ピロキシカム投与中、アンピロキシカム投与中、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン投与中、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩投与中、エルゴメトリンマレイン酸塩投与中、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩投与中、エレトリプタン臭化水素酸塩投与中、バルデナフィル塩酸塩水和物投与中、シルデナフィルクエン酸塩<レバチオ>投与中、タダラフィル<アドシルカ>投与中、アゼルニジピン投与中、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル投与中、リファブチン投与中、ブロナンセリン投与中、リバーロキサバン投与中、ロミタピドメシル酸塩投与中、ベネトクラクス<再発又は難治性の慢性リンパ性白血病の用量漸増期>投与中(ベネトクラクス<再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫の用量漸増期>投与中を含む)、ジアゼパム投与中、クロラゼプ酸二カリウム投与中、エスタゾラム投与中、フルラゼパム塩酸塩投与中、トリアゾラム投与中、ミダゾラム投与中、ルラシドン塩酸塩投与中、ボリコナゾール投与中〔10.1参照〕。
2.3. 腎機能障害又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者〔9.2.1、9.3.1、10.2参照〕。
- 効能・効果
- HIV感染症。
- 用法・用量
- 通常、成人にはリトナビルとして1回600mg(本剤6錠)を1日2回食後に経口投与する。ただし、投与初日は1回300mgを1日2回、2日目、3日目は1回400mgを1日2回、4日目は1回500mgを1日2回、5日目以降は1回600mgを1日2回食後に経口投与する。
投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与初期において、高い血中濃度と副作用が高頻度に発現する傾向が認められている。投与初期における高い血中濃度と副作用発現を回避するため、低用量から投与を開始すること。
1). 投与初日:1回投与量300mg(本剤3錠)、1日投与回数2回、1日投与量600mg。
2). 2日目、3日目:1回投与量400mg(本剤4錠)、1日投与回数2回、1日投与量800mg。
3). 4日目:1回投与量500mg(本剤5錠)、1日投与回数2回、1日投与量1000mg。
4). 5日目以降:1回投与量600mg(本剤6錠)、1日投与回数2回、1日投与量1200mg。
7.2. 本剤は他の抗HIV薬と併用すること。併用に際しては最新のガイドラインを確認すること。
7.3. 本剤を薬物動態学的増強因子(ブースター)として使用する場合には、併用薬の添付文書(用法・用量、使用上の注意等)及び最新のガイドラインを確認すること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
8.1.3. 本剤投与開始後、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること〔10.相互作用の項、16.7.1参照〕。
8.2. AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、CK上昇、尿酸上昇、コレステロール上昇、トリグリセリド上昇等があらわれることがあるので、定期的に生化学的検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
8.3. 動物実験(ラット)で、網膜障害が認められているので、定期的に眼科検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔15.2.2参照〕。
8.4. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
9.1.1. 血友病及び著しい出血傾向を有する患者:本剤投与による治療中の血友病患者において、突発性出血性関節症をはじめとする出血事象増加が報告されている〔11.1.7参照〕。
9.1.2. 器質的心疾患及び心伝導障害(房室ブロック等)のある患者:本剤は軽度の無症候性PR間隔延長が認められている〔10.2、17.3.1参照〕。
9.1.3. B型肝炎、C型肝炎を合併している患者:肝機能障害を増悪させるおそれがある。
9.2.1. 腎機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.1. 肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:投与しないこと(コルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.3、10.2参照〕。
9.3.2. 肝機能障害のある患者(コルヒチンを投与中の患者を除く):本剤は主に肝臓で代謝されるため、高い血中濃度が持続するおそれがある。また、トランスアミナーゼ上昇を合併している患者では肝機能障害を増悪させるおそれがある。
- 相互作用
- 本剤は肝チトクロームP450(CYP3A)と強い親和性を示し、他の薬剤(特にCYP3Aで代謝される薬剤)の代謝を競合的に阻害し、血中濃度を上昇させる可能性が高い。さらに、本剤の連用により肝チトクロームP450の各種アイソザイムを誘導する可能性もある。本剤は主に肝チトクロームP450(CYP3A)で代謝されるが、他の薬剤との相互作用は、可能なすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤による治療中に新たに本剤を併用したり、本剤投与による治療中に新たに他剤を併用
したりする場合には、可能な限り薬物血中濃度を測定するなど、用量に留意して慎重に投与すること〔8.1.4、16.4、16.7.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:1). キニジン硫酸塩水和物(硫酸キニジン)、ベプリジル塩酸塩水和物<ベプリコール>、フレカイニド酢酸塩<タンボコール>、プロパフェノン塩酸塩<プロノン>、アミオダロン塩酸塩<アンカロン>、ピモジド<オーラップ>、ピロキシカム<フェルデン、バキソ>、アンピロキシカム<フルカム>、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、エルゴメトリンマレイン酸塩<エルゴメトリン>、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩<パルタン>、エレトリプタン臭化水素酸塩<レルパックス>、バルデナフィル塩酸塩水和物<レビトラ>、シルデナフィルクエン酸塩<レバチオ>、タダラフィル<アドシルカ>、アゼルニジピン<カルブロック>、アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル<レザルタス配合錠>、リファブチン<ミコブティン>、ブロナンセリン<ロナセン>、リバーロキサバン<イグザレルト>、ロミタピドメシル酸塩<ジャクスタピッド>、ルラシドン塩酸塩<ラツーダ>〔2.2参照〕[不整脈、血液障害、血管攣縮等、これら薬剤による重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こるおそれがあるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合これらの薬剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される)]。
2). ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉<ベネクレクスタ>〔2.2参照〕[ベネトクラクスの再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期に本剤を併用
した場合、腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある(本剤がCYP3Aにおけるベネトクラクスの代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
3). ジアゼパム<セルシン、ホリゾン>、クロラゼプ酸二カリウム<メンドン>、エスタゾラム<ユーロジン>、フルラゼパム塩酸塩<ダルメート>、トリアゾラム<ハルシオン>、ミダゾラム<ドルミカム、ミダフレッサ>〔2.2参照〕[過度の鎮静や呼吸抑制等が起こるおそれがあるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合これらの催眠鎮静薬及び抗不安薬の血中濃度が大幅に上昇することが予測される)]。
4). ボリコナゾール<ブイフェンド>〔2.2参照〕[ボリコナゾールの血中濃度が低下したとの報告があるので併用しないこと(本剤のチトクロームP450の誘導作用によるものと考えられている)]。
10.2. 併用注意:1). フェンタニル、フェンタニルクエン酸塩、リドカイン塩酸塩、リドカイン、エリスロマイシン、カルバマゼピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、キニーネ、カルシウム拮抗薬<アゼルニジピンは併用禁忌>(アムロジピンベシル酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、フェロジピン、ニカルジピン塩酸塩、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベラパミル塩酸塩、ニルバジピン等)、タモキシフェンクエン酸塩、トレミフェンクエン酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、シンバスタチン、アトルバスタチンカルシウム水和物、クラリスロマイシン、シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロリムス、デキサメタゾン、シルデナフィルクエン酸塩<バイアグラ>、タダラフィル<シアリス・ザルティア>、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、イリノテカン塩酸塩水和物、ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬(ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩等)、アルプラゾラム、サルメテロールキシナホ酸塩、ボセンタン水和物、コルヒチン、クエチアピンフマル酸塩、シメプレビルナトリウム〔2.3、9.2.1、9.3.1参照〕[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、これら薬剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、充分な観察を行いながら慎重に投与し、必要に応じて減量や休薬等の適切な措置を講ずること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
2). フルチカゾンプロピオン酸エステル、ブデソニド、トリアムシノロンアセトニド[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、これら薬剤との併用において、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等が報告されているので、併用は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険性を上回ると判断される場合に限ること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
3). イブルチニブ、エンコラフェニブ[これら薬剤の血中濃度が上昇し副作用が増強されるおそれがあるので、本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には、これら薬剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
4). ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病〉[ベネトクラクスの再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期又は急性骨髄性白血病に対してベネトクラクス投与中に本剤を併用した場合、ベネトクラクスの副作用が増強されるおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
5). アパルタミド[アパルタミドの血中濃度が上昇し副作用が増強されるおそれがあり、また、本剤の血中濃度が減少するおそれがあるので、本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には、アパルタミドの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現や本剤の効果の減弱に十分に注意すること(本剤がCYP3Aによるアパルタミドの代謝を競合的に阻害するため、また、アパルタミドがCYP3Aを誘導するため)]。
6). ワルファリンカリウム[ワルファリンの血中濃度に影響を与えるおそれがあるので、頻回なINRのモニタリングを行うことが望ましい(肝薬物代謝酵素の関与が考えられるが機序不明)]。
7). テオフィリン、エチニルエストラジオール、エストラジオール安息香酸エステル[これら薬剤の血中濃度が減少するおそれがあり、これら薬剤の増量が必要となる場合がある(本剤がこれら薬剤の肝薬物代謝酵素を誘導するためと考えられている)]。
8). リファンピシン[本剤の血中濃度が減少するおそれがある(リファンピシンがCYP3Aを誘導するためと考えられている)]。
9). セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること(セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている)]。
10). フルコナゾール、ホスフルコナゾール、キヌプリスチン・ダルホプリスチン[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある(これら薬剤がCYP3Aにおける本剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
11). タバコ[喫煙により本剤のAUCが減少するおそれがある(機序不明)]。
12). ジドブジン[本剤との併用によりジドブジンのCmax及びAUCがそれぞれ減少するとの報告がある(本剤がグルクロン酸抱合を促進するためと考えられている)]。
13). ラモトリギン、バルプロ酸ナトリウム[これら薬剤の血中濃度が低下するおそれがある(本剤がグルクロン酸抱合を促進するためと考えられている)]。
14). ネビラピン[本剤の血中濃度が減少するおそれがある(ネビラピンがCYP3Aを誘導するためと考えられている)]。
15). エファビレンツ[本剤及びエファビレンツの血中濃度が上昇するおそれがあり、高頻度に有害事象が発生する可能性があるので、臨床検査値等のモニタリングを行いながら慎重に投与すること(機序不明)]。
16). リオシグアト[リオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること(本剤のCYP1A1及びCYP3A阻害によりリオシグアトのクリアランスが低下する)]。
17). ジゴキシン[ジゴキシンの血中濃度が有意に増加したとの報告があるので、ジゴキシンの血中濃度モニタリングを行うなど注意すること(本剤のP-gp阻害作用によるものと考えられている)]。
18). ロペラミド塩酸塩[ロペラミドの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のP-gp阻害作用によるものと考えられている)]。
19). アファチニブマレイン酸塩[アファチニブの血中濃度が上昇し副作用が発現しやすくなるおそれがあるので、本剤はアファチニブと同時かアファチニブ投与後に投与すること(本剤のP-gp阻害作用によるものと考えられている)]。
20). ロスバスタチンカルシウム[ロスバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のBCRP阻害作用が関与している可能性がある)]。
21). グレカプレビル・ピブレンタスビル[グレカプレビル及びピブレンタスビルの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤のP-gp又はBCRP阻害作用によるものと考えられる)]。
22). トラゾドン塩酸塩[トラゾドンの血中濃度が上昇し悪心・めまい・低血圧・失神を起こす可能性があるので、本剤と併用する場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてトラゾドンの減量等を考慮すること(本剤がCYP3Aにおけるトラゾドンの代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
23). PR間隔を延長させる薬剤(ベラパミル塩酸塩、アタザナビル硫酸塩等)〔9.1.2、17.3.1参照〕[PR間隔が延長するおそれがある(本剤は軽度の無症候性PR間隔の延長が認められている)]。
24). エトラビリン[エトラビリンの血中濃度が低下したとの報告があるので、本剤600mg1日2回との併用は推奨されない(本剤の肝薬物代謝酵素誘導作用によるものと考えられている)]。
25). ネルフィナビルメシル酸塩〔16.7.3参照〕[ネルフィナビルの血中濃度が上昇するとの報告がある(本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
26). その他のHIVプロテアーゼ阻害薬(アタザナビル硫酸塩等)[これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
27). マラビロク[マラビロクの血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 錯乱、痙攣発作(いずれも頻度不明)。
11.1.2. 脱水(頻度不明):下痢等に伴い、脱水、電解質異常があらわれることがある。
11.1.3. 高血糖、糖尿病(いずれも頻度不明):高血糖、糖尿病及び糖尿病悪化があらわれることがある。
11.1.4. 肝炎、肝不全(いずれも頻度不明)〔8.2参照〕。
11.1.5. 過敏症(頻度不明):アナフィラキシー、蕁麻疹、皮疹、気管支痙攣、血管性浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
11.1.6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.7. 出血傾向(頻度不明):出血事象があらわれた場合には血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと〔9.1.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(2%以上)悪心(47.5%)、下痢(44.9%)、嘔吐(23.6%)、腹痛(11.6%)、消化不良(9.4%)、食欲不振(8.9%)、鼓腸(4.3%)、口渇(2.9%)、げっぷ(2.2%)、潰瘍性口内炎(2.0%)、(2%未満)便秘、食道炎、嚥下障害、膵炎、(頻度不明)アミラーゼ上昇。
2). 精神神経系:(2%以上)異常感覚(21.5%)、頭痛(15.5%)、めまい(9.3%)、傾眠(5.1%)、不眠(4.3%)、不安(2.7%)、(2%未満)神経過敏、倦怠感、抑うつ、思考異常、末梢神経障害、異夢、失神、振戦、性欲減退、インポテンス。
3). 感覚器:(2%以上)口周囲感覚異常(26.6%)、味覚倒錯(11.4%)、知覚過敏(5.1%)、(2%未満)ぶどう膜炎、視覚異常、眼痛、嗅覚錯誤、耳鳴、(頻度不明)網膜炎。
4). 全身症状:(2%以上)無力症(22.3%)、発熱(4.8%)、疼痛(4.7%)、多汗(3.4%)、体重減少(2.3%)、(2%未満)悪寒、胸痛、背部痛、インフルエンザ様症候群、(頻度不明)体脂肪再分布/体脂肪蓄積(胸部脂肪増加、体幹部脂肪増加、末梢部脂肪減少、野牛肩)。
5). 肝臓:(2%以上)肝機能検査異常(2.8%)、(頻度不明)胆汁うっ滞性黄疸。
6). 呼吸器:(2%以上)咽頭炎(9.8%)、咳(2.0%)、(2%未満)呼吸困難。
7). 過敏症:(2%以上)発疹(7.6%)、そう痒(3.8%)、(2%未満)アレルギー反応。
8). 循環器:(2%以上)血管拡張(8.8%)、(2%未満)末梢血管障害、末梢性浮腫、心悸亢進、頻脈、低血圧、(頻度不明)PR間隔延長。
9). 代謝・栄養:(2%以上)高脂血症(4.5%)、(2%未満)高コレステロール血症、(頻度不明)血中尿酸上昇、トリグリセリド上昇。
10). 筋骨格:(2%以上)筋肉痛(2.8%)、(2%未満)関節痛、関節症、筋力低下、筋痙直、(頻度不明)CK上昇。
11). 皮膚:(2%以上)斑状丘疹性皮疹(2.8%)、(2%未満)皮膚乾燥、ざ瘡。
12). 血液:(2%未満)白血球減少、貧血、リンパ節症、血小板減少、(頻度不明)好中球減少、好酸球増加。
13). 腎臓:(2%未満)排尿障害、腎不全、腎結石、(頻度不明)BUN上昇、クレアチニン上昇、腎機能障害。
- 高齢者
- 用量に留意して慎重に投与すること(本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある)〔16.4参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット)で、胎盤を通過して胎仔へ移行することが報告されている)。
授乳を避けさせること(米国疾病管理センター(CDC)は、HIV伝播を避けるため、HIVに感染している女性は授乳を避けるよう勧告しており、リトナビルはヒト乳汁中に移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意本剤の吸収に影響を与えるおそれがあるので、本剤を噛んだり砕いたりせずそのまま服用
すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報海外において、本剤とサキナビルメシル酸塩を併用中の患者で糖尿病性ケトアシドーシスが発現したとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットの反復投与毒性試験において、25mg/kg/日投与で単細胞壊死を含む肝障害が認められ、この変化は3ヵ月の休薬によっても回復しなかったとの報告がある。
15.2.2. ラットの反復投与毒性試験において、75mg/kg/日投与で網膜色素上皮細胞肥大等の網膜障害が認められ、この変化は3ヵ月の休薬によっても回復しなかったとの報告がある〔8.3参照〕。
15.2.3. 2年間長期投与がん原性試験で、雄性マウスの高用量200mg/kg/日群において肝細胞性腫瘍の発生頻度に有意な増加が認められたとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子各6例にリトナビルのカプセル剤100~800mgを空腹時に単回経口投与した場合、リトナビルの血漿中濃度は投与約2~3時間後に最高濃度に達し、3.4~4.8時間の半減期で消失した。Cmax及びAUC0-∞は用量に伴い増加した。
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
HIV陽性患者10例にリトナビルのカプセル剤1回600mg、1日2回食後、28日間反復投与した場合、投与21日目のCmaxは11.2μg/mL、AUC0-12は77.5μg・hr/mL、投与直前のトラフ濃度は3.5μg/mLであった(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事が経口投与に及ぼす影響
食事はわずかに本剤のバイオアベイラビリティーを低下させる。平均的な食事(857kcal、カロリーの31%が脂肪由来)や高脂肪食(907kcal、カロリーの52%が脂肪由来)の摂取後にリトナビルの錠剤100mg単回投与したところ、空腹時投与と比較してリトナビルのAUCとCmaxは平均20~23%低下した(外国人データ)。
16.2.2 錠剤とカプセル剤の比較
リトナビルの錠剤とカプセル剤をそれぞれ100mg食後単回投与し比較したところ、AUC0-∞は同等であったが、Cmaxは錠剤が26%(92.8%CI:15~39%)上昇した(外国人データ)。
16.3 分布
本剤は、0.01~30.0μg/mLの濃度範囲でヒト血漿蛋白質と99%以上結合した。本剤2μg/mLにおけるヒト血液中の血球移行率は11.4%であった(in vitro)。
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いた試験で、本剤は58.7~60.4%が代謝され、主に3種類の酸化型代謝物を生成することが示された。また、本剤の代謝には主にCYP3A及びCYP2D6が関与することが示された(in vitro)。
健康被験者に14C標識リトナビルのカプセル剤を単回経口投与し、尿、糞中の代謝物を検索した結果、未変化体及び主に4種類の酸化型代謝物が確認された。[9.8、10.、16.7.1参照]
16.5 排泄
健康被験者に14C標識リトナビルのカプセル剤600mgを単回経口投与した場合、投与後148時間までに、投与した放射能の86.4%が糞中へ、11.3%が尿中へそれぞれ排泄された。また、未変化体約33.8%が糞中へ、約3.5%が尿中へ排泄された(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 in vitro試験
本剤はCYP3Aと特に強い親和性を示し、CYP3Aで酸化される種々の併用薬剤の代謝を競合的に阻害する。
本剤はグルクロン酸抱合を促進し、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19を誘導することがわかっている。併用薬剤の血中濃度を低下させ、薬効が減弱する場合には併用薬剤の用量調節が必要となる可能性がある。[8.1.4、10.、16.4参照]
16.7.2 併用薬剤の血中濃度に及ぼす影響(予測)
本剤と併用する可能性の高い薬剤について、それら薬剤の血中濃度(AUC)への影響を次に示す。
リトナビルが併用薬剤の血中濃度に及ぼす影響(予測)
→図表を見る(PDF)
16.7.3 HIVプロテアーゼ阻害薬との相互作用
インジナビル:健康被験者(n=8)を対象とした試験において、リトナビルのカプセル剤400mgBIDとインジナビル(IDV)400mgQDの併用では、IDV単独投与(400mgQD)と比較して、IDVのAUCが5.5倍、Cmaxが2.1倍、Cminが13.3倍に上昇した(外国人データ)。
ネルフィナビル:HIV感染症患者(n=10)を対象とした試験において、ネルフィナビル(NFV)750mgBIDとリトナビルのカプセル剤400mgBIDとの併用はNFV単独投与(750mgTID)と比較して、NFVのAUC(160%)、Cmax(121%)、Ctrough(123%)が上昇した。M8(NFVの活性代謝物)のAUCは347%上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 HIVインテグラーゼ阻害薬との相互作用
ラルテグラビル:臨床的に影響のある相互作用は認められていない(外国人データ)。
16.7.5 制酸剤の影響
本剤の吸収に対する制酸剤の影響は検討されていない。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第II相試験
試験112(カプセル剤):成人のHIV感染症患者84例を対象として、本剤の各用量群(300mgBID群、400mgBID群、500mgBID群、600mgBID群)、もしくはプラセボ投与群に無作為に割り付け、28日間投与による多施設二重盲検試験を実施した。28日後の本剤投与群の血中HIV‐RNA量は、投与前値と比べて0.73~1.11log copies/mL減少し、またCD4リンパ球数は、投与前値と比べ70~140/μL増加し、プラセボ投与群に比べ有意に改善した。
主な有害事象は300mgBID群、400mgBID群、500mgBID群においてはいずれも下痢(各4/13例(31%)、7/13例(54%)、7/15例(47%))等であり、600mgBID群においては下痢、口周囲感覚異常各7/15例(47%)であった。
17.1.2 海外第II相試験
試験169(カプセル剤):試験112に引き続き長期投与試験を実施した。同一患者に前試験と同じ用法・用量を継続して投与し、プラセボを投与していた患者には同じ群の本剤の用量を割り付け、計76例を対象とした。本剤の用量が多いほど血中HIV‐RNA量の減少及びCD4リンパ球数の増加が長期間持続する傾向がみられた。
主な有害事象は300mgBID群、400mgBID群、500mgBID群においてはいずれも下痢(各9/17例(53%)、11/17例(65%)、12/21例(57%))等であり、600mgBID群においては下痢12/21例(57%)、口周囲感覚異常11/21例(52%)であった。
17.1.3 海外第II相試験
試験134X(カプセル剤):成人のHIV感染症患者67例を対象として、本剤の各用法・用量群(200mgTID群、200mgQID群、300mgTID群、300mgQID群、600mgBID群)に割り付け、52週間投与による多施設臨床試験を実施した。52週投与期間中、血中HIV‐RNA量の減少はいずれの用量群でもみられたが、高用量群で血中HIV‐RNA量の減少が長期間持続する傾向がみられた。また、CD4リンパ球数の増加はいずれの用量群でもみられたが、投与量が多いほどCD4リンパ球数の増加が長期間持続する傾向がみられた。
主な有害事象は200mgTID群、200mgQID群、300mgTID群、300mgQID群においてはいずれも下痢(各12/16例(75%)、11/15例(73%)、13/15例(87%)、10/15例(67%))、600mgBID群においては悪心5/6例(83%)等であった。
17.1.4 海外第III相試験
試験247(カプセル剤):過去9ヵ月以上逆転写酵素阻害薬(単独又は併用)を服用中の12才以上のHIV感染症患者1,090例を対象として、本剤600mgBID投与群、もしくはプラセボ投与群に無作為に割り付け、16週間投与による多施設二重盲検試験を国際共同臨床試験として実施した。なお、従来からの逆転写酵素阻害薬の治療はそのまま継続した。16週投与期間中の本剤投与群では、平均血中HIV‐RNA量は有意に減少し(事前に定めた本剤投与群80例、プラセボ投与群79例を評価:添付文書の図1)、平均CD4リンパ球数は有意に増加した(事前に定めた本剤投与群108例、プラセボ投与群103例を評価:添付文書の図2)。このうち、HIV‐RNA量が投与前値より90%以上減少した症例の割合は、本剤投与群で45%、プラセボ投与群では0%であった。また、CD4リンパ球数が投与前値より50/μL以上増加した症例の割合は、本剤投与群で29%、プラセボ投与群では2%であり、CD4リンパ球数が25/μL以上増加した症例の割合は、本剤投与群で45%であった。また、症状の進行度は本剤投与群がプラセボ群に比し進行のリスクを56%(P<0.01)減少させた(添付文書の図3)。
図1 試験247における投与前値からのlog HIV‐RNA量の平均変化量
図2 試験247における投与前値からのCD4リンパ球数(細胞数/μL)の平均変化量
図3 試験247における症状の進行度
本剤投与群(541例)における主な有害事象は、下痢287例(53.0%)、嘔気275例(50.8%)、嘔吐152例(28.1%)、口周囲感覚異常139例(25.7%)、手足の感覚異常103例(19.0%)等であった。
17.3 その他
17.3.1 心電図に対する影響
健康成人45例にリトナビルのカプセル剤400mgBIDを3日間(4回)投与したときのQTcF間隔変化の最大平均値(及び95%上限信頼限界値)は5.5(7.6)msecであった。QTcF間隔がベースラインから60msec以上変化したか500msecを超えた例はなかった。また、3日目において軽度のPR間隔延長が認められた。最大PR間隔は252msecであった(外国人データ)。[9.1.2、10.2参照]
18.1 作用機序
本剤は、HIV‐1及びHIV‐2のプロテアーゼの活性を競合的に阻害し、HIVプロテアーゼによるgag‐pol蛋白質前駆体の産生を抑制することで抗ウイルス作用を示す。X線結晶解析で、本剤は基質遷移状態アナログとしてHIVアスパルティックプロテアーゼの活性部位Asp‐Thr‐Gly配列に直接的に結合することが示されている。
本剤は、HIVプロテアーゼに対する選択的親和性を有し、ヒトのアスパルティックプロテアーゼに対してはほとんど阻害作用を示さない。
18.2 抗ウイルス作用
ヒトTリンパ球細胞株(MT‐4)における本剤のHIV‐1分離株(IIIB、MN、RF、TR17)及びHIV‐2分離株(MS)に対するIC50値は、それぞれ0.014~0.108μM及び0.242μMであった。HIV感染者の末梢血リンパ球を用いp24抗原産生阻害を指標にしたIC50は、0.015~0.153μMであり、同様の本剤によるHIV‐1感染の阻害が認められた。
また、患者13人より分離された臨床分離株の平均IC50は、0.022μMであった(in vitro)。
18.3 薬剤耐性
HIV逆転写酵素阻害薬AZT耐性株に対し、本剤は感受性を示し、交差耐性は認められなかった。本剤への耐性は、ウイルス・プロテアーゼ遺伝子の共通塩基配列Bによって規定されるアミノ酸のうち、主としてI84VとV82Fの変異により生じる。I84Vの変異では、IC90が約10倍、V82Fでは約4倍増加した。V82部位の変異頻度は10の-4乗と計算されている(in vitro)。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
吸収に影響を与えるおそれがあるので、本剤をかんだり砕いたりせずそのまま服用する。
- 製造販売会社
- アッヴィ
- 販売会社
おくすりのQ&A
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