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オデフシィ配合錠

販売名
オデフシィ配合錠
識別コード
GSI 255
薬価
1錠 5872.70円
製造メーカー
ヤンセンファーマ

添付文書情報2023年08月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
抗ウイルス剤
一般名
リルピビリン塩酸塩・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.3参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. リファンピシン投与中、リファブチン投与中、カルバマゼピン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトイン投与中、デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く>投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)、プロトンポンプ阻害剤投与中(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンフマル酸塩、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩)の患者〔10.1参照〕。
効能・効果
HIV-1感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 次のいずれかのHIV-1感染患者に使用すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。
・ 抗HIV薬の治療経験がなく、HIV-1 RNA量100000copies/mL以下である患者に使用すること。
・ ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、リルピビリン、テノホビル又はエムトリシタビンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること(ウイルス学的抑制:HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)。
5.2. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
5.3. 未治療のHIV-1感染患者を対象としたリルピビリンの海外臨床第3相試験において、次の結果が得られていることから、本剤による治療開始時には、これらの情報について考慮すること。
5.3.1. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ウイルス学的失敗例で、背景治療であるラミブジン/エムトリシタビン関連耐性の発現割合は、エファビレンツ群(対照薬群)よりもリルピビリン群で高かった〔18.3.2参照〕。
5.3.2. リルピビリンの海外臨床第3相試験において、ベースラインCD4陽性リンパ球数200cells/μL未満の被験者では、200cells/μL以上の被験者と比べて、ウイルス学的失敗例の割合が高かった〔17.1.3、17.1.4参照〕。
用法・用量
通常、成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、1回1錠(リルピビリンとして25mg、テノホビル アラフェナミドとして25mg及びエムトリシタビンとして200mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は、HIV-1感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬と併用しないこと。また、エムトリシタビンと類似の薬剤耐性、ウイルス学的特性を有しているラミブジンを含む製剤と併用しないこと。
7.2. 本剤はリルピビリン塩酸塩、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩及びエムトリシタビンを含有する配合剤であるので、リルピビリン塩酸塩を含む製剤、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤及びエムトリシタビンを含む製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。
7.3. 本剤投与後、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること〔8.2、16.6.3参照〕。
腎機能障害患者
8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
8.1.1. 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
8.1.2. 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
8.1.3. 本剤を処方どおりに毎日服用すること。また、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
8.1.4. 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
8.2. 本剤投与前は、クレアチニンクリアランス等の腎機能検査を実施し、腎機能障害の有無を確認すること。投与開始時に、クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により、患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.1.2、10.2、16.6.3参照〕。
8.3. 抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
8.4. エムトリシタビン製剤の試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種に高いことが示唆されている。
9.1.1. 不整脈を起こしやすい患者:低カリウム血症、著しい徐脈、急性心筋虚血、うっ血性心不全、先天性QT延長症候群等の患者では、QT延長により不整脈が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)〔10.2、17.3.1参照〕。
9.1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:クレアチニンクリアランス及び血清リンの検査を実施すること〔8.2参照〕。
9.1.3. B型肝炎ウイルス(HBV)感染を合併している患者。
(1). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある。
(2). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])〔1.警告の項参照〕。
(3). B型肝炎ウイルス感染(HBV感染)を合併している患者:本剤中止後数ヵ月間は、定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと(本剤中止後に肝炎が悪化した場合、非代償性肝不全となる可能性があるので、必要に応じて抗HBV薬の投与を考慮すること、本剤の投与中止により、急激な肝炎悪化がみられるおそれがある)〔1.警告の項参照〕。
9.1.4. C型肝炎ウイルス感染を合併している患者:定期的な肝機能検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(リルピビリン製剤の海外臨床第3相試験において、これらの患者では、肝臓関連有害事象(臨床検査値異常を含む)の発現頻度が非重複感染患者より高かった[重複感染患者33.3%(18/54例)、非重複感染患者4.9%(31/632例)])。
9.1.5. 病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者:観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤の非臨床試験及び臨床試験において、骨密度低下と骨代謝生化学マーカー上昇が認められ、骨代謝亢進が示唆された。また、抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染患者に対し、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において、骨密度が低下した症例が認められた)。
9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:エムトリシタビンの血中濃度が上昇する〔16.6.3参照〕。
相互作用
リルピビリンは、主にCYP3Aにより代謝される。
テノホビル及びエムトリシタビンは、糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される。
テノホビル アラフェナミドは、カテプシンA、CYP3A及びP糖蛋白の基質である。
10.1. 併用禁忌:1). リファンピシン<リファジン>、リファブチン<ミコブティン>〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。
2). カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール等>、フェニトイン<アレビアチン等>、ホスフェニトイン<ホストイン>〔2.2参照〕、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.2参照〕[リルピビリン・テノホビルアラフェナミドの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進され、これらの薬剤のP糖蛋白誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある)]。
3). デキサメタゾン<全身投与><単回投与を除く><デカドロン等>〔2.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、リルピビリンの代謝が促進される)]。
4). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール<オメプラール、オメプラゾン>、ランソプラゾール<タケプロン>、ラベプラゾール<パリエット>、エソメプラゾール<ネキシウム>、ボノプラザンフマル酸塩<タケキャブ>、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩<キャブピリン>)〔2.2、16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがある(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
10.2. 併用注意:1). H2遮断剤(ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジン)〔16.7.2参照〕[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の12時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
2). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(乾燥水酸化アルミニウムゲル、沈降炭酸カルシウム等)[リルピビリンの血中濃度が低下し本剤の効果が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤は、本剤投与の2時間以上前又は4時間以上後に投与すること(胃内のpH上昇により、リルピビリンの吸収が低下する)]。
3). クラリスロマイシン、エリスロマイシン[リルピビリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、代替としてアジスロマイシン等を考慮すること(これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、リルピビリンの代謝が阻害される)]。
4). メサドン〔16.7.2参照〕[メサドンの血中濃度が低下することがある(機序不明)]。
5). アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル等[これら薬剤・テノホビル・エムトリシタビンの血中濃度が上昇し有害事象を増強するおそれがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延する)]。
6). QT延長を起こすことが知られている薬剤(アミオダロン、ソタロール等)〔9.1.1、17.3.1参照〕[QT延長、心室性頻拍<Torsade de Pointesを含む>が発現するおそれがある(リルピビリン75mg及び300mg投与時にQT延長が認められている)]。
7). 腎毒性を有する薬剤〔8.2、11.1.1参照〕[これらの薬剤との併用は避けることが望ましい(これらの薬剤との併用により血漿中濃度が上昇するおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重度の腎機能障害(頻度不明):急性腎障害、腎不全、腎尿細管壊死、ファンコニー症候群、近位尿細管腎症、間質性腎炎(急性間質性腎炎を含む)、腎性尿崩症等の重度腎機能障害があらわれることがあるので、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔10.2参照〕。
11.1.2. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。
テノホビル又はエムトリシタビンを含む核酸系逆転写酵素阻害剤の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。
11.2. その他の副作用
1). 免疫系障害:(頻度不明)免疫再構築症候群。
2). 代謝及び栄養障害:(0.5%未満)食欲減退、(頻度不明)体重増加、体脂肪再分布/体脂肪蓄積。
3). 精神障害:(0.5%以上)不眠症、異常な夢、(0.5%未満)うつ病、睡眠障害、(頻度不明)抑うつ気分。
4). 神経系障害:(0.5%以上)頭痛、(0.5%未満)浮動性めまい、傾眠。
5). 胃腸障害:(0.5%以上)下痢、鼓腸、悪心、(0.5%未満)腹痛、嘔吐、腹部不快感、消化不良。
6). 肝胆道系障害:(頻度不明)トランスアミナーゼ上昇。
7). 皮膚及び皮下組織障害:(0.5%未満)発疹、(頻度不明)血管性浮腫、蕁麻疹。
8). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(0.5%未満)疲労。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に肝、腎及び心機能が低下していることが多い)。
授乳婦
9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(サル)においてテノホビルの胎仔への移行が報告されている)。
9.5.2. 妊娠中期及び妊娠後期の妊婦に本剤を投与したとき、出産後と比較し、リルピビリン血中濃度低下が認められている〔16.6.4参照〕。
授乳を避けさせること(なお、HIV感染女性患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)、テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されているが、テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明であり、また、リルピビリンは、動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されているが、ヒト乳汁への移行は不明である。
小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満の小児又は体重35kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
20.1. 開栓後は、湿気を避けて保管すること。
20.2. 小児の手の届かない所に保管すること。

16.1 血中濃度
16.1.1 日本人における成績
健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの各成分の薬物動態パラメータを表1に示す。
表1 日本人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの各成分の薬物動態パラメータ
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16.1.2 単回投与
外国人健康成人に本剤を標準食(600kcal、脂質27%)とともに単回経口投与したときの各成分の薬物動態パラメータを表2に示す。
表2 外国人健康成人に本剤を食後に単回経口投与したときの各成分の薬物動態パラメータ
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16.1.3 HIV‐1感染患者
(1)リルピビリン
抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1感染患者に、リルピビリン製剤25mgを1日1回反復経口投与した第III相試験の成績を用いた母集団薬物動態解析より得た血漿中リルピビリンの薬物動態パラメータ(推定値)を表3に示す。HIV‐1感染患者における血漿中リルピビリンの曝露量は健康成人より低値であった。(外国人データ)
表3 外国人成人HIV‐1感染患者における血漿中リルピビリンの薬物動態パラメータ推定値[第III相試験(C209及びC215試験)の96週時併合解析]
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12歳以上18歳未満の小児HIV‐1感染患者にリルピビリン25mgを1日1回反復投与したときの、リルピビリンの薬物動態パラメータを表4に示す。(外国人データ)
表4 外国人小児(12歳以上18歳未満)HIV‐1感染患者における血漿中リルピビリンの薬物動態パラメータ(C213試験)
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(2)テノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン
12歳から82歳のHIV‐1感染患者を対象としたエルビテグラビル・コビシスタット・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩・エムトリシタビン配合剤(150・150・11.2・200mg)の第II相及び第III相試験から得られたテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ(母集団薬物動態解析による推定値)を表5に、エムトリシタビンの薬物動態パラメータを表6に示す。(外国人データ)
表5 外国人HIV‐1感染患者における血漿中テノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ推定値
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表6 外国人HIV‐1感染患者における血漿中エムトリシタビンの薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
外国人健康成人に本剤を標準食(600kcal、脂質27%)又は高脂肪食(800-1000kcal、脂質50%)とともに単回経口投与したときの各成分の血漿中曝露量を、空腹時に単回経口投与したときの曝露量と比較した結果を表7に示す。(外国人データ)
表7 外国人健康成人に本剤を食後又は空腹時に単回経口投与したときの各成分の薬物動態に及ぼす食事の影響
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16.3 分布
16.3.1 リルピビリン
リルピビリンの血漿蛋白結合率は約99.7%であり、主にアルブミンに結合した(in vitro、平衡透析法)。
16.3.2 テノホビル アラフェナミド
テノホビルのヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は、0.01~25μg/mLの範囲で0.7%未満であった。テノホビル アラフェナミドのヒト血漿蛋白結合率(ex vivo)は、約80%であった。
16.3.3 エムトリシタビン
エムトリシタビンのヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は、0.02~200μg/mLの範囲で4%未満であった。
16.4 代謝
16.4.1 リルピビリン
In vitro試験で、リルピビリンは主にCYP3Aにより代謝された。[16.7.1参照]
16.4.2 テノホビル アラフェナミド
経口投与後、末梢血単核球及びマクロファージのカテプシンA及び肝細胞のカルボキシルエステラーゼ1によりテノホビルに代謝され、その後、テノホビル二リン酸に代謝された。CYP分子種発現系酵素を用いた検討において、テノホビル アラフェナミドはCYP3Aでわずかに代謝された。[16.7.1参照]
16.4.3 エムトリシタビン
エムトリシタビンは主に尿中に排泄され、代謝の影響をほとんど受けない。
16.5 排泄
16.5.1 リルピビリン
健康成人に14C‐リルピビリン(液剤)150mgを単回経口投与したとき、投与した総放射能の85%(平均値)が糞中、6.1%(平均値)が尿中から回収された。糞中及び尿中の未変化体の排泄率は、それぞれ投与量の25%(平均値)及び1%未満であった。(外国人データ)
16.5.2 テノホビル アラフェナミド
健康成人に14C‐テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を単回投与したところ、投与量の47.2%が糞中に、36.2%が尿中に排泄された。その主成分はテノホビルであり、糞中の99%、尿中の86%を占めた。また、投与量の1.4%がテノホビル アラフェナミドとして尿中に排泄された。テノホビルは腎臓での糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方により排泄された。(外国人データ)
16.5.3 エムトリシタビン
健康成人に14C‐エムトリシタビンを投与したとき、投与した量の約86%は尿中から回収され、13%は代謝物として回収された。エムトリシタビンの代謝物は、3’‐スルホキシドジアステレオマーとグルクロン酸抱合体である。エムトリシタビンは、糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方により腎排泄されることが示唆されている。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
(1)リルピビリン
軽度肝機能障害患者(Child‐PughスコアA、8例)にリルピビリン25mgを1日1回反復投与したときのリルピビリンのCmax及びAUC24は、肝機能正常被験者と比較してそれぞれ27%及び47%高かった。中等度肝機能障害患者(Child‐PughスコアB、8例)にリルピビリン25mgを1日1回反復投与したとき、肝機能正常被験者と比較してリルピビリンのCmaxは5%低く、AUC24は5%高かった。(外国人データ)
(2)テノホビル アラフェナミド
軽度肝機能障害(Child‐PughスコアA)患者における、テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは、肝機能正常被験者に対し、それぞれ11%及び8%低下し、テノホビルのCmax及びAUCは、それぞれ3%及び11%低下した。また、中等度肝機能障害(Child‐PughスコアB)患者における、テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは、肝機能正常被験者に対し、それぞれ19%及び13%上昇し、テノホビルのCmax及びAUCは、それぞれ12%及び3%低下した。
重度肝機能障害(Child‐PughスコアC)患者における、テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは、肝機能正常被験者に対し、それぞれ55%及び46%低下し、テノホビルのCmax及びAUCは、それぞれ10%及び37%低下した。蛋白結合率で補正したとき(重度肝機能障害患者及び肝機能正常被験者ではそれぞれ38%及び20%)、重度肝機能障害患者の遊離型(非結合型)テノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは、肝機能正常被験者に対し、それぞれ18%及び6%低下した。(外国人データ)
(3)エムトリシタビン
エムトリシタビンは代謝の影響をほとんど受けないため、肝機能障害患者を対象とした試験は実施していない。
16.6.2 B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルス重複感染患者
(1)リルピビリン
母集団薬物動態解析の結果、B型肝炎ウイルス及び/又はC型肝炎ウイルスとHIV‐1の重複感染患者の血漿中リルピビリンのAUC24及びC0に、臨床的に問題となる影響はなかった。(外国人データ)
16.6.3 腎機能障害患者
(1)リルピビリン
リルピビリンの腎排泄は限定的であるため、腎機能障害患者を対象とした試験は実施していない。リルピビリンは血漿蛋白結合率が高いことから、血液透析や腹膜透析により除去される可能性は低い。
(2)テノホビル アラフェナミド
重度腎機能障害患者[クレアチニンクリアランス(CLcr)が15mL/min以上30mL/min未満、透析未施行]及び腎機能正常被験者(CLcr90mL/min以上)にテノホビル アラフェナミド25mgを単回投与したときのテノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表8に示す。(外国人データ)[7.3、8.2参照]
表8 健康成人及び重度腎機能障害患者にテノホビル アラフェナミド25mgを単回投与したときの血漿中テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータ
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(3)エムトリシタビン
腎機能障害患者にエムトリシタビン200mgを単回投与したときの薬物動態パラメータを表9に示す。
なお、投与1.5時間以内に開始した3時間の血液透析(血液流量400mL/min、透析液流量600mL/min)により投与量の約30%が除去された。(外国人データ)[7.3、8.2、9.2.1参照]
表9 腎機能障害患者におけるエムトリシタビン製剤(200mg)の単回投与後の薬物動態パラメータ
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16.6.4 妊婦、産婦への投与
妊娠中期のHIV‐1感染患者(15例)に、リルピビリン25mgを1日1回投与したとき、リルピビリンのCmax、AUC24h及びCminは、出産後(6~12週;11例)と比較してそれぞれ21%、29%及び35%減少し、妊娠後期(13例)では、それぞれ20%、31%及び42%減少した。(外国人データ)[9.5.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験成績
(1)リルピビリン
MATE‐2Kに対する阻害作用(IC50値:0.05μM未満)を示した。[16.4.1参照]
(2)テノホビル アラフェナミド
P‐gp、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質である。また、テノホビルはOAT1、OAT3及びMRP4の基質であり、OAT1に対する弱い阻害作用(IC50値:29.3μM)を示した。[16.4.2参照]
16.7.2 臨床成績
本剤の有効成分を含有する製剤と併用薬を投与したときの、本剤の有効成分又は併用薬の薬物動態への影響を表10~15に示す。[10.1、10.2参照]
表10 併用薬投与時のリルピビリン(リルピビリン製剤150mg1日1回投与)の薬物動態パラメータの比
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表11 リルピビリン製剤(150mg1日1回)投与時の併用薬の薬物動態パラメータの比
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表12 併用薬投与時のテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータの比
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表13 テノホビル アラフェナミドフマル酸塩製剤、エルビテグラビル・コビシスタット・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン配合錠又はテノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン配合錠投与時の併用薬の薬物動態パラメータの比
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表14 併用薬投与時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータの比
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表15 エムトリシタビン製剤投与時の併用薬の薬物動態パラメータの比
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 抗HIV薬による治療経験があり、試験開始前6ヵ月以上ウイルス学的に抑制され、かつ本剤の有効成分に対する耐性がないHIV‐1感染患者を対象とした海外臨床試験(第IIIb相試験):GS‐US‐366‐1216試験
リルピビリン(RPV)・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)・エムトリシタビン(FTC)配合剤による抗HIV薬により6ヵ月以上持続してウイルス学的に抑制され、かつ本剤の有効成分に対する耐性がないHIV‐1感染患者を対象とし、本剤に切り替えた際の有効性及び安全性を検討するために、RPV・TDF・FTC配合剤の継続投与(継続投与群)を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績は表1のとおりであり、継続投与に対する本剤の非劣性が検証された[群間差(95.001%CI):-0.3(-4.2-3.7)%]。
表1 48週時の臨床成績の概要(GS‐US‐366‐1216試験)
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316例中20例(6.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢3例(0.9%)、悪心2例(0.6%)であった。
17.1.2 抗HIV薬による治療経験があり、試験開始前6ヵ月以上ウイルス学的に抑制され、かつ本剤の有効成分に対する耐性がないHIV‐1感染患者を対象とした海外臨床試験(第IIIb相試験):GS‐US‐366‐1160試験
エファビレンツ(EFV)・TDF・FTC配合剤(国内未承認)による抗HIV薬により6ヵ月以上持続してウイルス学的に抑制され、かつ本剤の有効成分に対する耐性がないHIV‐1感染患者を対象とし、本剤に切り替えた際の有効性及び安全性を検討するために、EFV・TDF・FTC配合剤の継続投与(継続投与群)を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績は表2のとおりであり、継続投与に対する本剤の非劣性が検証された[群間差(95.001%CI):-2.0(-5.9-1.8)%]。
表2 48週時の臨床成績の概要(GS‐US‐366‐1160試験)
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438例中56例(12.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛7例(1.6%)、鼓腸6例(1.4%)、不眠症5例(1.1%)、下痢4例(0.9%)、異常な夢4例(0.9%)であった。
17.1.3 抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象としたRPV含有製剤の海外臨床試験(第III相試験):C209試験(ECHO試験)及びC215試験(THRIVE試験)
抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象とし、RPV25mg及び背景治療(BR)の1日1回投与の有効性及び安全性を検討するために、EFV600mg及びBRの1日1回投与を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を2試験実施した。各試験のBRは、ECHO試験はTDF/FTC、THRIVE試験はTDF/FTC、ABC/3TC又はAZT/3TCとした。48週時の臨床成績は表3のとおりであり、両試験とも、EFV+BRに対するRPV+BRの非劣性が検証された[群間差(95%CI):ECHO試験;0.1(-5.5-5.7)%、THRIVE試験;3.9(-1.6-9.5)%]。また、部分集団における結果(ECHO試験及びTHRIVE試験の併合解析)を表4に示す。[5.1、5.3.2参照]
表3 48週時の臨床成績の概要
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表4 ベースラインHIV‐1 RNA量別、ベースラインCD4陽性リンパ球数別、48週時のウイルス学的効果注1)(HIV‐1 RNA量<50copies/mL)及びウイルス学的失敗例注2)
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17.1.4 抗HIV薬による治療経験があり、試験開始前6ヵ月以上ウイルス学的に抑制され、かつ非核酸系逆転写酵素阻害剤による治療歴がないHIV‐1感染患者を対象としたRPV含有製剤の海外臨床試験(第III相試験):GS‐US‐264‐0106試験
プロテアーゼ阻害剤、リトナビル及び2剤の核酸系逆転写酵素阻害剤併用投与による抗HIV療法により6ヵ月以上持続してウイルス学的に抑制され、かつ非核酸系逆転写酵素阻害剤による治療歴がないHIV‐1感染患者を対象とし、RPV・TDF・FTC配合剤に切り替えた際の有効性及び安全性を比較するために、プロテアーゼ阻害剤、リトナビル及び2剤の核酸系逆転写酵素阻害剤の継続投与(継続投与群)を対照とした無作為化非盲検並行群間比較試験を実施した。24週時の臨床成績は表5のとおりであり、継続投与に対するRPV・TDF・FTC配合剤の非劣性が検証された[群間差(95%CI):3.8(-1.6-9.1)%]。[5.1、5.3.2参照]
表5 24週時の臨床成績の概要(GS‐US‐264‐0106試験)
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17.1.5 抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象としたFTC/TAF含有製剤の海外臨床試験(第III相試験):GS‐US‐292‐0104試験
抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象とし、エルビテグラビル(E)・コビシスタット(C)・FTC(F)・TAF(テノホビル アラフェナミド)配合剤の有効性及び安全性を検討するために、E・C・F・TDF配合剤を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績は表6のとおりであり、E/C/F/TDFに対するE/C/F/TAFの非劣性が検証された[群間差(95.002%CI):1.0(-2.6-4.5)%]。
表6 48週時の臨床成績の概要(GS‐US‐292‐0104試験)
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E/C/F/TAF群において435例中182例(41.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心49例(11.3%)、下痢37例(8.5%)、頭痛28例(6.4%)、疲労24例(5.5%)、浮動性めまい14例(3.2%)であった。
17.1.6 抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象としたFTC/TAF含有製剤の海外臨床試験(第III相試験):GS‐US‐292‐0111試験
抗HIV薬による治療経験がないHIV‐1感染患者を対象とし、E・C・F・TAF配合剤の有効性及び安全性を検討するために、E・C・F・TDF配合剤を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績は表7のとおりであり、E/C/F/TDFに対するE/C/F/TAFの非劣性が検証された[群間差(95.002%CI):3.1(-1.0-7.1)%]。
表7 48週時の臨床成績の概要(GS‐US‐292‐0111試験)
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E/C/F/TAF群において438例中56例(12.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心41例(9.5%)、下痢25例(5.8%)、頭痛24例(5.6%)、疲労19例(4.4%)、浮動性めまい12例(2.8%)であった。
17.1.7 抗HIV薬による治療経験があり、試験開始前6ヵ月以上ウイルス学的に抑制されているHIV‐1感染患者を対象としたFTC/TAF含有製剤の海外臨床試験(第III相試験):GS‐US‐292‐0109試験
TDFを含む抗HIV薬により6ヵ月以上持続してウイルス学的に抑制されているHIV‐1感染患者を対象とし、E・C・F・TAF配合剤に切り替えた際の有効性及び安全性を検討するために、TDFを含む抗HIV薬の継続投与(継続投与群)を対照とした無作為化非盲検並行群間比較試験を実施した。48週時の臨床成績は表8のとおりであり、継続投与に対するE・C・F・TAF配合剤の非劣性が検証された[群間差(95%CI):4.1(1.6-6.7)%]。
表8 48週時の臨床成績の概要(GS‐US‐292‐0109試験)
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17.3 その他
17.3.1 QT間隔に対する影響
(1)リルピビリン
QT/QTc間隔の延長は認められなかった。なお、リルピビリン75mg及び300mg注)を1日1回反復投与したとき、QT/QTc間隔の延長が認められた(ベースラインからの変化量のプラセボとの差の平均値(95%信頼区間の上限)はそれぞれ10.7(15.3)ms及び23.3(28.4)ms)。[9.1.1、10.2参照]
(2)テノホビル アラフェナミド
健康成人48例を対象に、テノホビル アラフェナミド125mg注)を1日1回反復投与したとき、QT/QTc間隔及びPR間隔の延長は認められなかった。(外国人データ)
注)本剤の用法・用量におけるリルピビリン及びテノホビル アラフェナミドの1日量はそれぞれ25mg及び25mgである。

18.1 作用機序
18.1.1 リルピビリン(RPV)
RPVは非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であり、HIV‐1逆転写酵素を非競合的に阻害する。
18.1.2 テノホビル アラフェナミド(TAF)
TAFは核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)であり、テノホビルのプロドラッグである。TAFは末梢血単核球及びマクロファージ中のカテプシンAにより加水分解を受け、テノホビルとなり、細胞内でリン酸化を受け、テノホビル二リン酸(活性代謝物)となる。テノホビル二リン酸は、HIV‐1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’‐三リン酸と競合すること、及びDNAに取り込まれた後に、DNA鎖伸長を停止させることにより、HIV‐1逆転写酵素の活性を阻害する。
18.1.3 エムトリシタビン(FTC)
FTCはNRTIであり、細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’‐三リン酸(活性代謝物)となる。エムトリシタビン5’‐三リン酸はHIV‐1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’‐三リン酸と競合すること、及び新生ウイルスDNAへ取り込まれた後に、DNA鎖伸長を停止させることにより、HIV‐1逆転写酵素の活性を阻害する。
18.2 抗ウイルス作用(in vitro)
RPV、FTC及びTAFのうち2成分組み合わせた際の併用効果について、いずれの組合せでも相乗的な抗ウイルス活性が認められた。
18.2.1 RPV
T細胞株に急性感染させたHIV‐1実験室株のIIIBに対するRPVの50%有効濃度(EC50)(中央値)は、0.73nmol/Lであった。
18.2.2 TAF
リンパ芽球様細胞株、末梢血単核球、初代培養単球/マクロファージ及びCD4陽性Tリンパ球に感染させたHIV‐1の実験室株及び臨床分離株に対するTAFのEC50(範囲)は、0.1~15.7nmol/Lであった。
18.2.3 FTC
リンパ芽球様細胞株、MAGI‐CCR5細胞株及び末梢血単核細胞に感染させたHIV‐1の実験室株及び臨床分離株に対するFTCのEC50(範囲)は、0.0013~0.64μmol/Lであった。
18.3 薬剤耐性
18.3.1 In vitro試験
(1)RPV
異なる由来及びサブタイプの野生型又はNNRTI耐性HIV‐1株を用いたin vitro耐性獲得試験において認められたRPV耐性関連変異は、L100I、K101E、V108I、E138K、V179F、Y181C、H221Y、F227C、M230Iであった。
(2)TAF
TAFに対する感受性が低下したHIV‐1分離株では、K65R変異が発現しており、K70E変異も一過性に認められた。
(3)FTC
FTCに対する感受性低下は、逆転写酵素領域のM184V/I変異と関連が認められた。
18.3.2 臨床試験(抗HIV薬の治療経験のないHIV‐1感染患者)
(1)RPV
C209試験及びC215試験で、RPV及びTDF/FTCを投与された患者を対象とした96週時の耐性解析において、解析結果が得られた71例のうち39例にNNRTI耐性関連変異(V90I、K101E、E138K/Q、V179I、Y181C、V189I、H221Y、F227C)、41例にNRTI耐性関連変異(K65R、K70E、M184V/I、K219E)が認められた。なお、ウイルス学的失敗例で、背景治療であるラミブジン/FTC関連耐性の発現割合は、EFV群よりもRPV群で高かった。[5.3.1参照]
(2)TAF+FTC
GS‐US‐292‐0104試験及びGS‐US‐292‐0111試験で、ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち、投与後144週時又は早期中止となった時点の血漿中HIV‐1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者を対象に耐性解析を実施した。解析結果が得られたエルビテグラビル(EVG)・コビシスタット(COBI)・FTC・TAF配合剤群22例のうち、12例にFTC、TAF又はEVGの主要耐性関連変異が一つ以上認められた。認められた耐性関連変異は、逆転写酵素領域のM184V/I及びK65R/N、インテグラーゼ領域のT66A/I/V、E92Q、Q148Q/R及びN155Hであった。インテグラーゼ領域にEVG耐性関連変異が認められた患者の大部分は、逆転写酵素領域にFTC耐性関連変異が認められた。
18.3.3 臨床試験(ウイルス学的に抑制されているHIV‐1感染患者)
(1)本剤
GS‐US‐366‐1216試験及びGS‐US‐366‐1160試験において、投与期間中に血漿中HIV‐1 RNA量が50copies/mLを超え、その後400copies/mLを超えウイルス学的再燃と判定された被験者、並びに投与48週又は早期中止時点の血漿中HIV‐1 RNA量が400copies/mLを超えたがウイルス学的再燃の基準には該当しなかった被験者を対象に耐性解析を実施した。解析結果が得られた本剤群7例のうち、3例に逆転写酵素領域の耐性関連変異(K103K/N、P225P/H、V90V/I、E138E/A、M41M/L、E44E/D、D67D/N、T69T/N、K70K/E/G/R、K219K/E、V118I、L210L/W及びT215Y)が認められたが、本剤投与開始時点から認められた変異であった。
18.4 交差耐性
18.4.1 RPV
RPVは、RTにK103N及びY181C等のNNRTI耐性関連アミノ酸変異を1個導入したHIV‐1実験室株67株のうち64株(96%)に抗ウイルス作用を示した。RPVへの感受性の低下をもたらした単一のアミノ酸変異はK101P、Y181I及びY181Vであった。K103Nのアミノ酸変異は、単一でRPVに対する感受性が低下しなかったが、K103N及びL100Iの二重変異では、RPVに対する感受性が7倍低下した。Y188L変異により、RPVに対する感受性が臨床分離株と比べて9倍、部位特異的変異株に比べて6倍低下した。
ウイルス学的に抑制されている既治療HIV‐1感染患者を対象としたRPV製剤の臨床試験(GS‐US‐264‐0106試験)で、RPVに耐性を示した患者では、他のNNRTI(EFV、ネビラピン及びdelavirdine)に対して交差耐性を示したが、エトラビリン(ETR)に対しては2例中1例で感受性が維持された。
18.4.2 TAF
K65R、K70E変異によりアバカビル、ジダノシン、ラミブジン、FTC、テノホビルに対する感受性が低下するが、ジドブジンに対する感受性は維持される。
T69S二重挿入変異、又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち、核酸系逆転写酵素阻害剤に多剤耐性を持つHIV‐1は、TAFに対する感受性の低下を示した。
K103N又はY181CのNNRTI関連変異を有するHIV‐1は、TAFに対して感受性を示した。
M46I、I54V、V82F/T及びL90M等のプロテアーゼ関連変異を有するHIV‐1はTAFに対して感受性を示した。
18.4.3 FTC
FTC耐性株(M184V/I)はラミブジンに対して交差耐性を示したが、ジダノシン、サニルブジン、テノホビル、ジドブジンに対してはin vitroで感受性を維持した。サニルブジンに対する感受性低下をもたらす変異、ジドブジン関連変異(M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/F、K219Q/E)又はジダノシン関連変異(L74V)を有するウイルスは、FTCに対する感受性を維持した。NNRTI耐性と関連づけられるK103N又は他の変異を有するHIV‐1は、FTCに対して感受性を示した。

一包可:不明

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